FreeBSD8 bind9

http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/bind905/bind905b.html

■rsyncを利用したゾーンファイルの転送

 「ゾーンデータの更新検知→ゾーンデータの複製→ゾーンデータの再読み込み」が実施できるのはゾーン転送だけではありません。皆さんもよくご存じのrsyncやrdistなどのリモートファイル同期ツールを利用することも可能なのです。

 「ゾーン転送で十分ではないか」と思われる方も多いと思いますが、BINDを運用している方の中には、たびたび報告されるゾーン転送の脆弱性に嫌気が差し、ゾーン転送を無効化してこれらのツールを利用する方もいます。rsyncやrdistは差分アップデートを備えており、効率のいい転送が行えます。さらにsshを利用することで、よりセキュアに操作できます。

 ゾーン転送を切り捨てた時点で、スレーブ・サーバをslaveで立ち上げることは無意味になります。マスター・サーバと同様に、スレーブ・サーバをmasterとして立ち上げます。

zone "example.jp" {
       type master;
       file "example.zone";
};  

named.confの一部。スレーブ・サーバのnamed.confを元に戻す

 マスター・サーバからスレーブ・サーバに対して、rsyncでファイルコピーを行うには次のようにします。

$ rsync -azb -e ssh /var/named/example.zone ユーザー名@スレーブ・サーバIP:/var/named/example.zone.bak 
  -aアーカイブモード
  -bバックアップファイルを「~」の付いた名前で作成
  -uより新しければ更新しな
  -v実行過程を詳細表示
  -zzlibを利用して圧縮転送を行う
  -essh バージョン1を利用する場合は「ssh1」を指定

 ユーザー名には、スレーブ・サーバの/var/named/に書き込み権限を持つユーザーを指定します。逆に、スレーブからマスターのファイルをダウンロードする際は、引数の順序を逆にします。

$ rsync -auzb -e ssh ユーザー名@マスター・サーバIP:/var/named/example.zone /var/named/example.zone.bak 

 上記のコマンドラインを、/var/named/に書き込み権限を持つユーザーで実行します。お互いのサーバでsshが使え、rsyncがコマンドパスに入っているかどうかに注意してください。

 コピーが完了したらrndcを使い、ゾーンデータの再読み込みを行います。スレーブ(注)側で再読み込みを行わせるのは、通常どおり

# /usr/local/sbin/rndc reload 

を実行します。

注:「マスター」と「スレーブ」を区別するのは、どちらのデータがよりオリジナルかという点に帰結します。

 マスターからスレーブのrndcをリモート実行するには次のようにします。

$ ssh ユーザー名@スレーブ・サーバIP '/usr/local/sbin/rndc reload'  

注:ファイルパスは環境に応じて適宜書き換えてください。ユーザー名は、スレーブにおいてsshが実行でき、rndcの実行権を持つユーザーである必要があります。

 なお、reloadではゾーンファイルのタイムスタンプが重要になります。マスターとスレーブで時刻の設定にズレがないように、ntpdateなどで内部時計を合わせておきましょう。

# ntpdate time.nist.gov 

 ここまでの操作を自動化させるには、sshのパスワード入力をssh-agentなどで省略したうえでスクリプトにまとめ、crontabで周期的に実行させる必要があり、単純な作業ではありません。ただし、ゾーンファイルの更新が頻繁でないのであれば、ここで紹介した手動によるアップデートの方が実用的です。

 rdistでも同様のことが行えます。また、scpを応用する方法も考えられますが、rsyncが使える環境ならrsyncを使用することをお勧めします。


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